排卵期になると、卵管の先のほうきのようになった卵管采が、卵管の運動とともに移動し、卵巣の表面をなでるように接触します。この時、卵子は卵管の中に取り込まれます。卵管が掃除機のノズルのように卵子を吸い込むのではないかという考えもありますが、否定的な意見もあります。
卵管と卵管采の間には、少し隔たりがあります。
神様は、なぜこのような隔たりを作ったのでしょうか。ネズミと比較して恐縮ですが、ネズミの場合は、卵巣と卵管は一つの膜に包まれており、排卵された卵子はほとんど全てが卵管の中に流れ込むようにできています。
しかし人の場合は、このような膜がありません。
ですから、人では、排卵された卵子のうち約半分が卵管に取り込まれると考えられています。つまり、卵管に何ら異常がなくても2ヵ月に1回位しか卵子をキャッチできないと考えられます。卵管采によってキャッチされなかった卵子は、命綱の切れた宇宙飛行士のように、腹腔の彼方へ消え去って行くのです。
卵巣から排卵される卵子を、卵管が受け取り、その中に取り込むメカニズムは未だに神秘に包まれています。
卵管の先の卵管采と呼ばれる部分は、イソギンチャクの触手のような構造をしていて、表面には細かい繊毛がびっしりと生えています。
この繊毛は、盛んに運動して卵子を取り込み、卵管の中へ誘導し、さらに卵管の中で卵子を輸送していきます。また、卵管自身の筋肉運動も卵子の輸送に役立っています。
卵管に取り込まれた卵子は、卵管膨大部に到達します。ここで、精子が子宮から卵管へと泳いでくるのを待ちます。