性交後試験、PCTなどとも呼ばれます。妊娠成立の仕組みでも説明しましたように、膣内に射精された精子は、いったん、子宮頚管粘液の中に避難し、やがて旅立ちます。不妊症の患者さんの中には、この子宮頚管粘液と精子の相性が悪いため、精子が子宮頚管粘液の中で動けなくなってしまう方がおられます。これが頚管因子による不妊症です。この子宮頚管粘液と精子との相性を調べるのがヒューナー検査で、必ず排卵の時期に行います。
排卵の時期に性交を行い、その9~24時間後に膣内を洗浄せずに来院していただきます。従って検査日の前夜に性交渉を持ち、翌朝受診するか、検査日の朝、性交渉を持つのが望ましいでしょう。
医師は子宮頚部の粘液を吸い取り、この頚管粘液の中で泳いでいる精子の様子を顕微鏡で観察します。この時期の頚管粘液は、卵胞ホルモン(エストロゲン)の作用を受けて精子を通過させやすくなっています。
400倍に拡大した顕微鏡の視野の中に、運動精子を20以上認める場合を正常と判断します。
これにより、排卵時に子宮頚管粘液が、精子を通しやすい状態に変化するかどうかがわかります。
この子宮頚管粘液の状態が、粘りが強すぎたり酸性度が高すぎたりして精子が通過できない場合は、人工授精を行ったほうがよいでしょう。
また、検査の結果が悪い場合は、抗精子抗体の存在(後述)が疑われます。この場合は抗精子抗体検査(血液検査)を受けるようお勧めします。
医師からのひとこと
性交という、夫婦にとってもっともプライベートな部分に関わるこの検査に、抵抗を感じる方もおられます。またこの検査は一度では判定が難しく、結果が悪い場合は何度か検査しなければならないなど、ご夫婦ともにストレスが多いと思われます。
しかし、不妊の原因を知る重要な検査の一つですので、医師に勧められた場合には積極的に受けていただきたいと思います。