初めての受診で、不妊の原因が明らかとなり、治療方針が決まる方もあります。しかし、多くの患者さんはそうではありません。
また、不妊の原因は一つとは限りませんから、明らかな原因が見つかった場合でも、ここに紹介する一般的検査をひと通り受けることをお勧めします。
婦人体温計で、毎朝、目覚めたときの体温を測定し、表に記入します。婦人体温計および記録用紙は薬局などで購入できます。測定時間は多少違ってもかまいませんが、一度起きあがって動くと体温が上昇しますので床の中で測るようにします。
また、下の備考欄に、月経、おりもの、下腹部痛、不正出血、性交渉などを記録しましょう。
初めての受診の時に、この基礎体温表を2~3ヶ月間つけて持参すると、診察がはかどります。
排卵の有無、黄体ホルモンの様子など、卵巣の働きの様子などがわかります。排卵が起こった後の卵巣からは、黄体ホルモン(プロゲステロン)が分泌されます。この黄体ホルモンは、基礎体温を0.2~0.4度位高くする働きがあります。このために、排卵前は低く(低温相)、排卵後は高く(高温相)なるわけです。従って、基礎体温表できっちりと低温相と高温相の2相性になっていれば、排卵がおこっていると考えられ、基礎体温表から排卵日を推定することができます。
また、妊娠が成立するためには、充分な量の黄体ホルモンが一定期間分泌される必要があります。
この黄体ホルモンの分泌が不十分であることを黄体機能不全といい、高温相の期間や体温の変動などから黄体機能不全かどうかがある程度わかります。
医師からのひとこと
基礎体温は、このように全体の流れが大切ですので、1~2日つけ忘れたり、測定時間が多少ずれても途中でやめないで続けましょう。基礎体温の高低幅や排卵の時期には個人差があります。