排卵が起こった後、卵巣には黄体が形成されます。この黄体から、プロゲステロン(黄体ホルモン)が分泌され、このホルモンは、子宮内膜の成熟を促し、受精卵の着床を助けます。
プロゲステロンの分泌が少なくなったり働きの悪い状態を黄体機能不全といいます。
黄体機能不全の場合は、せっかく卵子と精子が受精し受精卵となって子宮内腔に運搬されてきても、子宮内膜の成熟が不充分であるために受精卵がうまく着床できず、不妊症や流産の原因になります。
診断方法
基礎体温表で高温相が短かったり、体温が上下する場合に疑われます。
高温期に血液検査をして、プロゲステロン値を数回測定すると、より確かな診断が可能です。
子宮頚管には、頚管粘液が充満しています。この粘液は、膣内の細菌が子宮の中へと侵入しないようにブロックしています。
この頚管粘液は同時に精子もブロックしますが、排卵が近づくと粘液はみずみずしく透明に変化し、精子が通りやすくなります。ところが、排卵期になっても頚管粘液にこのような変化が起こらず、精子が通過しにくいため不妊症となる場合があります。排卵誘発剤のクロミフェンを服用していると、その副作用が原因となることもあります。
本来、抗体とは外敵の侵入を阻止する働きを持つ物質です。女性は精子に対しては普通は抗体を作りません。しかし、まれに女性の体内で精子と結合する抗体が作られ、子宮や卵管の中で精子の運動を止めたり、受精能力を妨げている場合があります。これを抗精子抗体と呼び、不妊女性の数%に見つかります。この抗精子抗体がある場合は、体外受精法以外では妊娠しにくいと考えられます。